ナナ色Heart
こんなのダメだって分かってるけど、ひとりだと何も食べたくなくて。

作るのも辛いんだよね。

山内くんと一緒に料理を作ってたのとか、思い出しちゃうし。

あたし達は、サンドイッチを買って病室に戻った。

食べ終わる頃には午後7時を過ぎていたけど、梅雨入りしたこの季節は、まだ明るかった。

「送るよ。俺も今日はもう帰るから」

玲哉君はそう言って、あたしと病室を出た。

駅に出て、噴水と隣接した小さな野外ステージの脇を通った時、泣いているあたしの為に踊ってくれた玲哉君を思い出したんだ。

思わず隣に並んで歩いている玲哉君の顔を、あたしはそっと見上げたの。

「どうした?」

「いい男だなーと思ってね」

「俺が?!」

玲哉君は、以外だと言う風に眉をあげた。
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