ナナ色Heart
あたしはちょっと笑った。

「ごめんね、山内君とはただの同級生だなんて言って。
……ほんとは、彼と付き合ってたんだ」

「……」

玲哉君は僅かに眉を寄せて何か考えているようだったけど、結局何も言わなかった。

「ごめんね、嫌な思いさせちゃって」

「謝らなきゃならないのは……お前じゃない」

もう、涙は出なかった。

これで完全に終わりだよね。

……完全に終わりと分かっていたけど、あたしは家に帰ってから考えずにはいられなかった。

……ちょっと待って。

有紗さんに抱きつかれてた現場をあたしが目撃したとき、山内君は『話を聞いてほしい』て、言ったわよね?

なのに、なに、あの時の山内君の態度。

あたしが、違うと言ってるのに、『ぶざけんな』て、聞く耳持たなかったよね。

あたしは、フツフツと怒りが込み上げてきた。

おかしくない?!

あたしの話、聞いてもくれなくて!

自分の時は家まで押し掛けてきたくせに!!

なにが、『ふざけんな』よ、山内君こそ、ふざけんなっつーのっ!!

あたしは、今夜も眠れなかったの。

ただし今日は、怒りのせいでね!!





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