ナナ色Heart
柔らかくて低い声が、なんだか懐かしかった。

優しい腕があたしの体を包んで、目眩がしそうだった。

首にかかる山内君の息が、熱い。

次第にあたしの胸は高鳴り、キュッと軋んだ。

「ナナ、ナナ」

「山内君……」

「俺、分かったんだ。お前が誰といても、例えば、誰を好きでも、俺の気持ちは変わらない。
俺はナナが好きだ。
諦めようとしたけど、無理なんだ。
だから、これからは俺の片想いだ」

山内君はそこまで言って言葉を切ったけど、小さく息をついてから再び続けた。

「ずっと、好きだ、これからも。ナナを愛してる」
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