ナナ色Heart
「彼、凄く優しくて……あたしを一番に考えてくれるの」

ああ、この人は。

「……なんとか、言えば?」

あたしは、息をついてから口を開いた。

「本当に彼を好きなんですか?彼を苦しめてるって、どうして分からないんですか?」

有紗さんが大きく眼を見開く。

「前にも言ったわよね?今は彼も辛いかも知れないけれど、その内、あたしの愛を感じて」

あたしは、身勝手な彼女に怒りを覚えた。

「あなたの愛は、ただの自己愛だわ。彼を好きなんじゃなくて、自分自身の為の愛よ」

彼女が眼を見開き、腕を振り上げた。

叩かれる……!

あたしは、手をあげて自分の顔をかばった。
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