ナナ色Heart
「前の昇段審査って、いつだったんですか?」

彼は軽く頷いて、

「先月の半ばだったよ。あいつ、手首と背中を痛めてて」

「先輩!!」

気がつくと、男性の後ろから山内君が慌てたように声をかけた。

「おう、蓮、休憩か?丁度よかった、可愛いお客さんだぜ。それから俺、今日鍵忘れてきたから、帰るの遅いなら、後で鍵貸して」

山内君がはい、と返事をすると、彼は爽やかな笑顔を浮かべて道場へと消えていった。

先に口を開いたのは山内君だった。

「さっきの、史朗先輩。大学院生で、今俺、先輩の部屋に居候してるんだ」

あたしはすぐに思った。

多分、山内君の家に有紗さんがいるんだ。
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