ナナ色Heart
その時、山内君があたしをグイッと引き寄せて、胸に抱いた。

傍目も、気にしないで。

はだけた彼の胸と、固い空手着の感触。

「なんで、好きな女にそんな事言わなきゃなんねー訳?」

「お前は俺が、実力不足を好きな女のせいにするような男だと思ってんのかよ」

あたしは、慌てて首を振った。

「そんな事、思ってるんじゃなくてっ」

すると山内君は体を離して身を屈め、あたしの顔を覗き込んだ。

それから切れ長の瞳を僅かに細めたかと思うと、グイッと唇を引き上げて、誘うように笑ったの。

「それとも、なに?俺に、お仕置きとかされたいの?」

お、お仕置きって……。
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