ナナ色Heart
あたしがビックリして山内君を見つめていると、やがて彼は照れたように横を向いた。

「また……その顔、すんなって」

あたしは、涙目になりながらも一生懸命言った。

「こんな顔させたのは、山内君じゃん」

あたしはもう一度言った。

「どんな顔か自分では分かんないけど、山内君にしか、しないよ!だから、怒んないでよっ!いや、やっぱり、怒ってよ!あたし、責任感じて……」

もう、言いたいことがまとまらなくて、自分が凄くバカな子みたいに思えて、あたしは情けなかった。

「それ以上言うと、キスしたくなるからダメだ」

山内君は切なそうに笑った。

「 じゃあな、ナナちゃん」

山内君は最後に一瞬だけあたしを見ると、踵を返した。

あたしはギュッと眼を閉じて、心の中で繰り返した。

山内君、山内君!

大好き、大好き、って。

そう、まるで呪文みたいに。

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