ナナ色Heart
あたしは玲哉君を見つめた。

「二宮……」

あたしの名を呼ぶと同時に、玲哉君の顔が悲しみに歪む。

「嫌だ」

あたしは、小刻みに頭を振った。

東先生と、看護師の佐伯さんと本田さんがあたしを見た。

あたしは、上ずる声しか、出せなかった。

「嫌だ、何にも言わないで」

「二宮……!」

玲哉君があたしを抱き締めた。

「嫌だ、玲哉君!玲哉君!」

取り乱したあたしを見て、本田さんが玲哉君に声をかけた。

「少し外に連れ出してあげて」
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