ナナ色Heart
山内君はゆっくりと有紗さんの前に立つと、低い声で彼女に言った。

「有紗。お前とはもう終わったんだ。俺達は確かに愛し合ってたけど、それはもう昔の事だ。もう、今は違うんだ」

有紗さんはニコッと笑った。

「蓮……分かってないわね。それは、私達が暫く離れていたから……。あの時はまだお互い、子供だったし。今なら、また、愛し合えるわ」

山内君は、眉を寄せて有紗さんを見た。

「有紗、もう無理なんだ」

有紗さんは、意味が分からないという風に首をかしげた。

まるで外国の言葉を聞いているような顔で。

「有紗、もうこんなこと、やめよう」

「ナナさんが、悪いのよね、ナナさんに申し訳なくて、蓮は私を選べないのよね」
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