ナナ色Heart
それから体を離して息をついた。

「俺、行くわ。真朝の顔、見てくる」

「あたし達も帰るね。山内君とゆっくり話しなさいよ」

そう言うと、真央は本田さんと一緒に部屋を出ていった。

後にはあたしと山内君だけが残って、彼は切なそうにあたしを見たの。

あたしも、山内君を見つめた。

「山内君、一緒に帰ろう……」

彼は小さく頷いた。

「お前さ、俺の家の鍵、持ったままだよな?……今、持ってる?」

……あ……。

「ごめん……、うっかりしてた。すぐ返すね、ちょっと待って、確かカバンに」

あたしは涙を拭くと、慌てて自分のカバンの中を覗き込んだ。
< 258 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop