ナナ色Heart
あった……。

あたしはカードキーを手に取ると、山内君に渡しながら頭を下げた。

「ごめんね、忘れてて」

「……忘れてたのかよ」

彼は眼を伏せて横を向いた。

「……ごめん……」

「……別に怒ってない。ガッカリしただけ」

………。




病院を出て暫く歩き、駅前の大通りに差し掛かった頃、山内君があたしを見下ろして口を開いた。

「ナナ」

「ん?」
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