ナナ色Heart
山内君は少し笑った。
「俺、それまでに」
山内君はそこで言葉を切ると、
「いや、やっぱいいわ」
彼は、続けようと思っていた言葉を飲み込んでしまったみたいだった。
だから、あたしも聞かなかった。
「そうだね。ゆっくり話そうね」
あたしがそう言うと、彼は綺麗な口元を僅かに引き上げた。
それからあたし達は黙ったまま歩いた。
以前のように体を寄せ合う事もなければ、手
も繋がずに。
やがてお互いの家の分岐点で手を振って別れると、あたしは黙々と歩いた。
真朝さんの事や有紗さんの事、それに、あたしと山内君の事。
頭の中がそれらで溢れ返り、あたしはどこから一番に考えるべきなのかすら、分からないでいた。
「俺、それまでに」
山内君はそこで言葉を切ると、
「いや、やっぱいいわ」
彼は、続けようと思っていた言葉を飲み込んでしまったみたいだった。
だから、あたしも聞かなかった。
「そうだね。ゆっくり話そうね」
あたしがそう言うと、彼は綺麗な口元を僅かに引き上げた。
それからあたし達は黙ったまま歩いた。
以前のように体を寄せ合う事もなければ、手
も繋がずに。
やがてお互いの家の分岐点で手を振って別れると、あたしは黙々と歩いた。
真朝さんの事や有紗さんの事、それに、あたしと山内君の事。
頭の中がそれらで溢れ返り、あたしはどこから一番に考えるべきなのかすら、分からないでいた。