ナナ色Heart
「ばかっ!声が大きいっ!」

その時、

「誰が欲情してんの?」

「きゃああっ!」

あたしと真央は、突然の声に思わず悲鳴をあげ、その主が山内君だとわかった途端、真央は、

「私、彼と一緒に帰るんだった!じゃね!」

風のように去っていって、あたしだけが取り残されてしまったの。

なんて逃げ足が早いのっ。

そうだ、な、なにか言わなきゃ、怪しまれるっ!

「お、お久し振りでございます!」

あたしが、やたら甲高い声で咄嗟にそういうと、山内君は一瞬ポカンとしてから、クスクスと笑い出した。

「ございますって、なんだよ。社交界デビューでもしたのかよ」
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