ナナ色Heart
「いや、してないけど……」

「じゃあ、欲情はしてんの?……俺の体が恋しかったとか?」

か、か、体が恋しい!?

カアッと顔に血が集中するような感覚を覚えながらも、あたしは必死でブンブンと首を振った。

「俺は恋しかったけど」

えっ。

柔らかく魅力的な声がして、 あたしは思わず山内君を見上げた。

甘い眼差しが、あたしを捉える。

「俺は、恋しかった、ナナが」

「ナナは?」

端正な顔を傾けて、僅かに眼を細める、懐かしい山内君の仕草。

「ナナは俺が恋しかった?」
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