ナナ色Heart
なぜだか声が出せなかった。

でも、あたしは一生懸命頷いたの。

山内君は、そんなあたしを見て、少しだけ微笑んだ。

「そっか」

「あの、山内君、」

「お前、『三出会』参加すんの?」

あたしの言葉を遮って、山内君はそう尋ねてきた。

あたしも同じ質問をしたかったんだ。

「行こうかなって、思ってる。山内君は?」

「じゃ、俺も、出席するわ」

山内君はしばらくあたしを見つめていたけど、結局、何も言わなかった。

「じゃあな、欲情中のナナちゃん」

……。

あたし、何で言えないんだろう。

本当は、『一緒に帰ろう』って、言いたかったのに……。

なんで、言えないんだろう。

どうしてなんだろう……。
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