ナナ色Heart
翌日、あたしは早くに家を出た。

胸の中がフワフワと浮くような気持ちと、彼に伝えなければという、緊張感。

「なんだよ、100円でも探してんのかよ」

うつむき加減で歩いていたあたしの耳に、聴き心地のよい蓮の声が響いた。

「あ」

「おはよう、ナナちゃん」

ニッと笑う、男らしい顔。

「お、お、おはよう」

「『お』が多いわ」

「……」

「行くぞ」

蓮があたしの手を掴んで歩き出した。

「迎えに来てくれたの?」
< 294 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop