ナナ色Heart

そんな……。

あたしは夢中で首を振った。

「そんなことないよ。あたしが、意気地無しだったんだ。
有紗さんが……怖かったの。
彼女の話すこと全てが怖かった。
他に何もいい方法が思い浮かばなくて、そのうち……彼女のいうように、あたしじゃなくて有紗さんの方が蓮に相応しいように思えて……。
あたしが蓮と別れたら、誰もが納得できるように収まると思って……ごめんね」

蓮はギュッと眉を寄せると、掠れた声で言った。

「……俺が頼りないから、ナナがそれを選択したんだ。俺のせいだ」

「蓮のせいじゃないの。それだけは確かだから」

あたしは、真っ直ぐに蓮を見つめた。

言わなきゃ。