ナナ色Heart
だから、あたしは、お祖父ちゃんと今まで一度も会った事がなかった。

「ママ……大丈夫?」

あたしはベッドから起き上がって、ママの顔をじっと見つめた。

「ママ、帰ってもいいかな。もう長く会ってないんだけど、ママ、お祖父ちゃんに謝りたいし、最期はそばについていたいの」

あたしはすぐに頷いた。

だって、お祖父ちゃんは、ママにとってたったひとりの父親だもん。

仲違いしたままだとお互いに後悔すると思うから。

「行ってきなよ。あたしなら、大丈夫」

「ありがとう、ナナちゃん。パパも赴任先から、直接沖縄で落ち合うことになってるから」

「分かった」
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