ナナ色Heart

初めて彩さんに会ったとき、とても綺麗な人だと思った。

「まあ、あなたがナナの彼氏？！
この子、気は利かないし、これといって取り柄もないし 、あなたをガッカリさせるかもしれないわよ？うちの娘でいいの？」

彩さんにしたら、本心じゃなく、一種の謙遜というか、建前からこう発言したんだと思う。

けど、

「ナナは凄く気配りの出来る女の子ですし、素晴らしいところが沢山ある人です。
いくら、お母さんでも、取り柄がないだなんて仰らないで下さい。
……撤回してください」

バカ真面目に彩さんの謙遜を真っ向から否定してしまった俺を、彼女はポカーンとした顔で見つめたかと思うと、急に泣き笑いの表情を浮かべて、俺に抱き着いた。

「そんな風に娘を思っていてくださって凄く嬉しいわ。これから、ナナをよろしくね」