ナナ色Heart
「パパは仕事があるから滞在は短いけど、ママは……暫くあっちにいようと思うの」

あたしは、ママを見てちょっと笑った。

「ママが後悔しないようにすればいいよ。
あたしの事は気にしないで。家事だって出来るんだから」

あたしがそう言うと、ママは泣き笑いの表情で口を開いた。

「ホントにありがとう。行ってくるね」

……こうしてママは、スーツケースに荷物をまとめ、沖縄に旅立ったのだった。

「ええーっ、じゃあ、ナナは今日から独り暮らしなわけ?」

二年になっても同じクラスになった冨永真央が、胸の前で両手を組み、ウットリとしたように続けた。

「いいなあーっ、独り暮らしなんて、憧れるぅーっ」

「ふふ、まあね」
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