ナナ色Heart
誰に対してもそのセリフのみで、早くこの時間が終わればいいと思っていた。

自分に振られる人の気持ちなんて考えた事、なかった。

『君が俺にそう言ってくれた事は凄く嬉しいし、変な言い方かも知れないけど、感謝してる。ありがとう』

この言葉は、自分に対して勇気を出してアクションした、彼女に対する敬意の現れなんじゃないだろうか。

この言葉が、社交辞令じゃないって、思いたかった。

あたしは、ホッと溜め息をついた。

素敵な彼の一面を知れた喜びと、そんな彼に好きな人がいるという事実に、あたしの胸は軋んだ。
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