ナナ色Heart
「ナナ」

山内君は切れ長の瞳をわずかに細めて、眩しそうにあたしを見ていたから、あたしはどうしていいか分からずに俯いた。

だって、彼はあたしを抱き締めたままなんだもん。

当たり前だけど、至近距離なわけで……。

「や、山内君、寝ぼけてるの?大丈夫?」

すると彼は、かすれた声で囁くように言った。

「……もし寝ぼけてたら、キスしても怒らない?」

「……へっ?」

もう、いっぱいいっぱいで、あたしは声に力が入らなかったの。

「あ、あの、あの」

「…キス…しないから……帰るなって」

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