ナナ色Heart
「山内君……」

「だってお前は俺の……」

思わず、あたしは顔を上げて彼の瞳を見つめた。

な、に?

あたしは、山内君の……?

そこまで言うと彼は、鼻と鼻が触れそうな距離で囁いた。

「お前は俺の家政婦さんだろ。
やることやらねーで、帰るんじゃねーよ」

言い終わるなり、ニヤリと笑う。

あ、あんたは、多重人格者か!ビリーミリガンか!五番目のサリーかあっ!!

あたしはもう、ヘナヘナと座り込みたい気分だったけど、必死に耐えた。

すると山内君は、そんなあたしを悪戯っぽい瞳で見つめて、両腕を解いた。

「もしかして、俺にときめいたんじゃ……」

「バカじゃないの、トキメキません!」

ほんとはトキメキすぎて、気絶寸前だったけど!!

「なんだ、ときめいてないのか」

だめだ、早くトキメキを止める方法、見つけなきゃっ!!
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