ナナ色Heart
あたしは続けて言った。

「だからあたしは、ただの期間限定の、家政婦だよ」

「何かあったら、すぐに言えよ?」

「うん、分かった。ありがと」

隼人はあたしを真っ直ぐに見て言った。

「俺に遠慮するなよ」

あたしは隼人を見て、ハハハと笑った。

「今まで隼人に遠慮したこと、全然ないや」

隼人も笑った。

「じゃあ、これからも、遠慮すんな」

「隼人もね!あたしに遠慮は要らないからね!」

あたし達は男と女だけど、本当に仲がいい幼馴染みだ。

「じゃあ、日曜な」

「うん!」

隼人は一時間もしないうちに帰っていった。

この時のあたしは、後にあんな事件が起こるなんて、考えもしなかったんだよね……。
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