絶望の闇と希望の光
***********

準備も整い必要なものをまとめ、外へと出る。

「本当に行っちゃうのね」

悲しさ混じりの声で話しかける叔母さんに俺は自然に微笑む。

「はい。行かないと、そろそろ時間です」

確かに別れというのは寂しいものだ。
だが、会えないわけではない。

またいずれ会うこともある筈だ。
その時までは一時の別れ。そんな程度だ。

「そうね。じゃあ隆文くん。
しっかり頑張りなさい!」
「はい。行って参ります」

―――己の試練、そして目的の為に―――

俺は――――旅立つ。


と、言っても。まだ部屋の中だが。
じゃあどうやって鍛練所に行くか。

そんなの決まっている。

―――魔法陣を出して行くのだ。

俺は魔法陣を出すための気を手に集中させる。
ワープの1種である魔法を使うために。

指先が少し熱くなる。その指先から緑の光が発生する。
それを見届けて、指で曲線を描いて魔法陣を出して唱える。

「命す(くだす)!
我は孤高なる仁義なり!
我を目的の地へと導かんことを!
"異世界移動"(ワールド・ワープ)!」

そう唱えると緑色の六芒星(ろくぼうせい)の魔法陣が部屋中に光輝き俺自身の回りに柱を作り出す。

お別れ直前。俺は振り返らなかった。

それでも俺には分かった。
叔母さんが―――
泣いていたことを。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop