X.x…real
走りすぎて,ジンジンと疼き,脈打つ足をゆっくり止めて
淵に立つ。
風は容赦なく,俺を宙に浮かせようと,下から襲いかかる。
足元はそんな風のせいか,石ころ一つなく,つるりとなめらかだ。
『ジン・ポート』
機械が話す,あのどうにも親しみを抱けない声が,俺の名前を呼んだ。
機械相手に意味もないが,
俺はめい一杯,眼球が痛くなるほど,俺の名前を呼んだ奴を睨み付けて,
ゆっくりと振り返る。
仁王立ちして,そいつの正面を見る。