X.x…real
灰色にまみれた荒野。
色という色が見受けられない。
肌色だった俺の腕も,いつの間にか粉塵で灰色だ。
『ジン・ポート』
また名前を呼ばれた。
俺は,特に何かおかしかったわけではないけど,鼻で笑った。
「気色わりぃ面して俺の名前を呼ぶんじゃねぇよ」
ぐいと,先ほど,飛んできた瓦礫の破片で切った頬の血を拭う。
機械の全貌はよく見えなかった。
逆光であったし,なにより風に煽られた,俺の伸びてしまった前髪が視界を狭めた。
あえて言うならこうだ。
そいつに足は無い。浮いているのだ。
なんかゴチャゴチャした鉄みたいのの塊に,おまけとして人間の首が乗っかっている。
気色悪いことこの上ない。