X.x…real
『こちらへ来い,ジン・ポート』
また名前を呼ばれた。
あの気色悪い声でこれ以上名前を呼ばれたら,きっと俺の名前を腐ると思った。
「嫌だね,行くもんか」
じり…と小さく後ろへ下がる。
ツルツルした足元は,すぐに俺の足をすくうだろう。
『落ちるぞ』
構うもんか。
俺は口の両端を,針金で吊り上げたように笑った。
端から見たら,こんな状況で,俺は狂乱者に見えるかも知れない。
「お前なんかに殺されるよりわなぁ,こっから落ちた方が,ずぅぅうっとマシってやつだよ!!」