X.x…real



ツルっと,
案の定俺の足元は簡単に持っていかれた。



両手を広げて,風の中へ飛び込む。




耳をつんざくような風の音。
全てを表面に持っていかれるような,重力。



鳥になってしまえ

風が俺にそう言っている気がした。



0,1秒前まで俺の首が在ったところを,機械の腕と言った所か。
無数のチューブを絡ませたような太い紐が伸びてきて,空を掴む。





鳥になるなんて無理だ。
風が
重力が
俺という人間を容赦なく叩きつけて,落とす。

落とす
落とす
遥か下に





< 8 / 10 >

この作品をシェア

pagetop