オフィスの華には毒がある
「だって、あたし達もう32歳になるんだよ?子どもの頃、30代の自分なんて『おかあさん』以外想像してた?」


「……してない」


確かに。

疑うことなく、″お母さん″になっていると思っていた。
かわいい女の子が二人ほしいなぁ、とか、旦那様は優しい人がいいなぁとか思ってた。


「……ね?なにやってんのかな、と、思うでしょ?あたし達がすべきことは、イイオトコ探しじゃなくて、旦那探しよ!」


「……旦那はいい男じゃなくていいってこと?」


基準がよくわからなくて思わず尋ねる。


「え、やだ、イイオトコがいい」


なんだそりゃ。と二人で笑いあったところで、オムライスが運ばれてきて、とりあえず食べよう、という流れになる。
< 109 / 312 >

この作品をシェア

pagetop