オフィスの華には毒がある
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「おめでとう」
目の前に急に表れた、沢山の薔薇の花束。
真っ赤じゃなくて、わたしが好きな柔らかいピンク色。
そうそう、かすみ草も大好きだから沢山あって嬉しい。
その向こうから見えた顔には……優しげに、何故か少し悲しげに光る、ほんのり色素の薄い瞳。
無造作にまとめられた髪の毛は、柔らかそうで。
「しゅ……にん?」
思わず出たわたしの台詞を受けて、困ったように笑う。
「だから、こっちモードの時はその呼び方やめろって言っただろ?」
伸びてきた手は、指が細くて意外と綺麗で、それが何だか妙にセクシーで。
わたしの頬にそっと触れる。
いとおしそうに、優しく。
「……そうでした」
えへへ、と笑える自分にびっくり。わたし、こんな笑い方したの、いつぶりだろう。