オフィスの華には毒がある
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もう少しで手元の入力分が終わって、ちょっと一息つけそう……そしたらコーヒーでも入れて、
「遠藤さん、ちょっといいー?」
嫌です、って言ってもいいのなら断然言わせていただきたい。なにこのタイミング。
選択権なんてないくせに、さもわたしに選ばせるような手法は本当に憎たらしい。
わたしは、声の主……主任の嶋本直哉(シマモトナオヤ)の方をちらりと見る。
「……なんでしょう」
「あ、ちょっと」
あくまでもわたしに席を立ってそっちまで行けと?
確かに単純なデータ入力作業ですけども。
心の中でブツブツ毒づきつつ、席をたつ。
どうせわたしは茶渋ババア。
にっこり笑ったところで、公害ですから。ふん。