オフィスの華には毒がある
何言っちゃってんだろう?


えーと。
そもそも、わたしの気持ちは一体どこに?

あんなことをされて、わたしが斉木くんのことを好きになるとでも??


全てのオンナがあなたになびくとでも?


……なんだか、心底ガッカリしてしまった。


確かに、斉木くんのことは、嫌いじゃなかった。寧ろ、話せたら楽しくて。見かけたら、嬉しくて。
趣味も封印した会社内において、唯一のやすらぎだった。

……あの日、強引なラブホのお誘いが賭けの対象だと知る時までは。
懲りずにもう一度襲いかかってくるまでは。


だからもう、決定的に感覚が違うんだと思う。


それって、どうすれば伝わるんだろう。


「わたしも、斉木くんと話すと楽しかったよ」


言ってからしまった、と、思う。


斉木くんががっつりこっちを見ているのが視界の隅で分かったから。

いやいや、そういうんじゃなくて。なんていうか。
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