オフィスの華には毒がある
「……何してるんですか?」


「いや、だからそれは、俺達の台詞だって」


さっきの塩井くんの台詞を真似ているらしき主任。


「環がやけ酒をあおってご覧の通りの泥酔です。わたし一人では動かせなくて困っていたので助けてもらえませんか?」


パチパチパチ、と塩井くんが手を叩く。


「さすが、さすがです遠藤さん。きっちり模範解答ですね、ねーー、主任っ。さすが主任の……っムグ」


主任に口を塞がれ、大袈裟に暴れる塩井くん。


「奇遇だな。こっちにも一人たちの悪い酔っ払いがいる。まとめてタクシー送りってのはどうだ?」


「て言うか、主任、塩井くん魂抜けますよ」


無駄に高い身長&無駄に大きな手をもってホールドされた塩井くんはすっかり主任に身を委ねて遠くを見つめちゃってるし。


「あ、やべ」


主任が慌てて塩井くんを解放すると、

「主任……僕抱かれてもいいです」
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