オフィスの華には毒がある
塩井くんの赤らんだ頬のせいで冗談に聞こえないから嫌だ、と思いつつ、


「うん、タチ悪そうですね」


「だろ?」


「て言うか、わたし達と同じお店にずっといたんですか?」


主任の話こそしていないものの、会話が丸聞こえだったら嫌だなと思い、何となく確認する。


「いたけど……「会議室の、主任の秘密の別荘を片付けるの手伝ったお礼におごってもらったんでーーーす!ね?主任っ」


何だか知らないけどいい笑顔で塩井くんがカットインしてくる。


正しいその酔っ払いの姿に感動すら覚えるわ……。


主任が、『余計なことを言うな』というオーラをびしばし放っているのだけど、それは肝心の塩井くんには届かず、がっちりキャッチしちゃってるのはわたしなんですけど……。


「別荘、見ましたよわたしも」


あーあ、という顔を一瞬してから、主任がとぼけようとする。
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