オフィスの華には毒がある
だけど、場所が場所だけに、ドキッとしたのも本当で。


月曜の主任の話をまとめると、わたしの為にこの会議室の片隅でこっそりわたしが残業で片付けるべき分までやっつけて、毎日定時で帰してくれていたわけで。


……そんな曰く付き?の部屋にわざわざ呼び出すなんて、何か特別な話でもあるのか、なんて、勘繰りたくもなってしまって。


あの日以降も、想像通り……いや、想像を遥かに越える主任の平常運転ぶりに密かに驚いていたから。


もしかしてこの人、本当に酔うと全部忘れちゃうタイプなわけ?と何度も思った、ここ数日。


わたしは、主任に触れたことで確かに感じた何かがあったけれど、主任にとってはなんでもなかったのかもしれない。
それは、斉木くんのようなタイプがわたしと手を繋ぐことなんて、″おはよう″って言うのと同じくらいに何でもない……っていうのとはまた別次元の話で。

うまく言葉に出来ないけど。
< 261 / 312 >

この作品をシェア

pagetop