オフィスの華には毒がある
ぎゅっと固く身を縮めながら、結香からの電話の内容を思い出す。


この間の飲み会は、男子サイドが全員さつき出版の社員だったこと。

結香以外、女の子も含めてみーんな20代で、肩身が狭かったこと。

その上、好みのタイプもいなかったので、抜け出して別の飲み会に合流したこと。


去り際、斉木くん達が何だか不穏な動きをしていたけど、大丈夫だった?と確認してきた結香の真意が今になって分かる。


彼らは、一人寂しく残業している茶渋ババアなわたしを落とせるかどうか、賭けていたんだ。


そこを濁したのは結香の優しさで。


結果、その企みは失敗したわけで。

何を賭けてたのかは知らないけれど……。
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