オフィスの華には毒がある
確認、と言ってもそこら辺にいる誰かに、主任の所在を聞く程度だけどね。

わたし、忙しいし。


「……あ」


思わず声が出る。
いるじゃん。

今日も変わらず、地味めの冴えない出で立ちで。

奥の方でごそごそと何やら箱から出している。


「主任、来客ですけど」


「へ?んなアポあったっけ」


「さぁ?なんか、こう、メイク濃い目の……「ああ!」


″メイク濃い目″しか言ってないのに伝わっちゃう、フェロモンさんの個性の強さったら。


「どうもサンキューね」

よっこらしょ、って感じに立ち上がり、うーんと伸びる。


……ああもったいない。こんなに長い手足をしているのに、滲み出る冴えない臭。



ていうか、あのフェロモンさんは、こんな主任に一体何の用なんだろう。


……どうでもいいけどね。
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