オフィスの華には毒がある
「センパーイ、さっきのケバケバしい人、知ってますー?」


やっと、集中出来ると思ったら、環の声。


「んー、知らないー」


心の中で『環をケバくしてエロくしたような』と形容したことは墓場まで持っていくことにしよう。


「あの人、テレアポのバイトさんらしいですよー。で、もともとはこけしみたいに地味なの」


こけしって!!!


「で、何で今あんなことに?」


「見ての通りですよ!主任狙いらしいです」


「……まさかぁ」


さっき自分でもハートが飛んでいる、と思ったことは伏せておく。
だって、あり得ないもん。


「ねー、何があったんですかねぇ。あの主任を狙うとか、分かりやすくイメチェンするとか……あんな悪目立ちするくらいなら、地味なこけしのまんまのがよかったんじゃないですかねぇ」


……ますます言えない、彼女からアナタを連想しただなんて。
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