藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
私の後頭部に何かが当たった。


私は熱い視線を送っていた反対方向の廊下側を向いた。



「消しゴムとって」



影山修二だ。


赤井さんはおそらく影山修二が無視するからどこかに行ってしまったようだ。


ん?消しゴム?



「下」



彼の言う2文字の方向に目線をやるとそこには彼の言う消しゴムが発見できた。


ってこういうこと、何か前もあった気がするんだけど。


デジャヴか。


私は消しゴムを手に持ち、影山修二の顔をマジマジと見た。


髪を切った影山修二の顔立ちはかなり目立つ。


今まで髪の毛で隠れてたけど、やっぱりイケメンの部類なのだ。


もちろん藤くんには及ばないが。


このイメチェンがあの春の遠足の時に私が言ったことに対して影響を受けてしたことならば、このチヤホヤ加減、少しは感謝の意を表すべきだ。



「感謝しろよ」



私は影山修二に消しゴムを渡した。



「……は?」



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