藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
「それでこのテストを見せて何が言いたいわけ?影山とのこと自慢したいの?」



藤くんは私の左手から答案を奪い、言った。



「そんなわけないじゃん!
私はただ純粋に勉強頑張ったねって、頭いいねって藤くんに認められたかっただけだよ。
藤くんの理想に少しでも近づきたいんだよ!」



ドンッッ



藤くんの右手が本棚に突いた音が、静かな図書室に鳴り響く。



さっき奪い取られた数学のテストはヒラヒラと地面に舞い落ちた。



私の顔のすぐ側に藤くんの腕。



乙女なら誰でも一度は夢見る壁ドン…のはずなのだけど。




「…じゃあ、何か間違ってない?」




「えっ?」


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