藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
「お前って…誰のことが好きなの?」


「えっ、そっそんなの藤くんに決まってんじゃん!なんでそんなこと聞くの?」


「…お前がバカなのが、本当に腹立つ」



そう言って藤くんは本棚に突いていた腕を下ろした。


そして、そのまま何も言わずに図書室から去って行った。



私は状況が理解出来ず、足に力が入らなくなりそこにしゃがみ込んだ。

ふと、左を見るとそこには私の数学のテストが落ちていた。
私はそれを手に取りもう一度点数を確認した。



「72点…」



藤くんの理想に近づくために私は努力したんだよ。



でも、藤くんにはそんなこと意味がなかったんだ。



私が藤くんを想うのって無駄なことなのだろうか。



なぜだろう。



人って本当に悲しい時って



涙って流れないんだ。



静かな図書室の中、雨音だけが響いていた。

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