藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
***
翌朝。
私はいつものように藤くんを下駄箱で待っていた。
「あっ、藤くん…」
藤くんはいつものように気だるそうに現れた。
頭に目をやると少し寝癖がついてる……
か、可愛い。
朝から母性本能をくすぐるなんて…このハート泥棒め。
「……今日はいないかと思った」
藤くんは私から目線を逸らし、自分の上履きを取り履き替えながら私に言った。
「藤くーー」
「昨日は悪かった」
「……へ?」
藤くんの口から予想外の言葉聞こえ、思考回路が一旦止まる。
「昨日はちょっと言い過ぎた」
藤くんはそのまま教室の方へ歩いて行こうとした。
「藤くん……もしかしてヤキモチ焼いた?」
私は藤くんの背中に向かって言った。
私の言葉に歩みを止めた藤くん。