藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
学校の近くのコンビニまであっと言う間の徒歩5分。


ドリームタイムはあっけなく終了してしまった。



「藤くん、ありがと。じゃあ、私はこれで」
別れがつらくなるので颯爽とコンビニに入ろうとした私だったが、



「ん」



と言いつつ、藤くんが私に差し出してくる、先ほど私と相合傘をした紺色の雨傘。



ん?何?この某有名アニメ映画で雨宿りするサツキを見兼ねてカンタが傘を差し出した時を彷彿とさせる感じは。



「これもうボロいし、いらねぇからやるわ」



「へっ?わっっ」



藤くんは若干投げ気味に渡してきたので、私はその傘を慌てて受け取った。



って言っても、私にとってはまだまだこの傘綺麗なんですが。
藤くんってもしかして新品思考なのか!?
それとも私が貧乏性?


って、そうじゃねーだろ!



「じゃあ」



と言いつつ、雨の中に消えて行った。









のはカンタだけで、藤くんはコンビニに消えて行った。




なんだ新しい傘買うのか…



手元の傘を見つめる。



藤くんから初めて物をもらったんだけど。




何だろう。普通の人はこんなことで胸キュンなんて絶対絶対しないんだろうと思うんだけど。




胸のドキドキが止まらなかった。




6月の雨の日のことだった。







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