藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
そして、藤くんは帰ろうとした。


のだが何かを思い出したように鞄の中を漁りはじめ、そして茶色い表紙のノートを私に差し出してきた。



「ええっ?もしかして私と交換日記したいとか?」


「は?んなわけねぇだろ。いつの時代のヤツなんだよ。今日の授業のノート、貸してやるから」



私はすぐに中身を確認するとそれは数学のノートだった。



「えっ?いいの!?」


「もうすぐ期末近いから迷惑かけられる方が嫌だからな。せいぜい頑張れよ」


「あ、ありがと」



どうしたんだ。
藤くんがいつになく私に優しい気がする。
まさかこれ夢オチとかじゃないよね。



「あとさ」



藤くんが口を開いた。



「お前が風邪引いて……一つ気づいたことがある」



そう言い私を真剣に見つめてくる藤くんの眼差しに、私は金縛りにあったように動けなくなった。


ドキンと心臓が高鳴り、早まる鼓動。


目の前にいる藤くんにも伝わってしまいそう……









「夏風邪はバカが引くっていうけどほんとなんだな」



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