藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
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「お前と一緒にいるとほんとロクなことがないよな」
藤くんが不機嫌そうにそうボヤいた。
外部との連絡手段も途絶えた私たちはとりあえず社会科準備室の真ん中にあるソファに座っていた。
それは三人掛け様になっていて、端に座った藤くんの対照となるように間に一人分空け、私も腰下ろしている。
とりあえず用事を託した酒井先生がいずれは気づいてくれるだろうということで一先ず待機することになった。
「藤くん、ごめんなさい……」
私は藤くんに対しての申し訳なさで身体を縮こませながら言った。
藤くんのいる右側を一瞥する。
藤くんは手持ち無沙汰なのかその周辺にあった本を手にとっていた。
10畳程度の広さのある部屋だが、こんな密閉空間に好きな人と二人になるなんて初めての経験だった。
それを頭で意識すると、私はなぜか妙に緊張と興奮をしていた。