藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
あれから時はどのくらい経ったのだろうか。


「……何でもない」と私は藤くんに返答をしてから長い間沈黙がおとずれた。


もうそろそろ酒井先生も私が帰ってこないことに気付いてくれてもよいのだろうけれども。


カーテンが閉められ、日の陽射しはあまり入ってこないとはいえ、日が沈みかけていることを室内にいながらも感じられた。


私はこのどんよりとした空気を一掃すべく藤くんに提案した。



「そうだ!藤くん、しりとりしようよ!」


「………は?」



藤くんは呆気に取られた声とともに、怪訝そうな顔付きでようやく私の方に振り向いてくれた。



「しりとりだよ!しりとり〜!今やると結構面白いんだよ。時間潰しもなるし」



実は私と麻美さんとケインの中でしりとりは密かにブームとなっていた。


だいたいテーマを決めてやるのだが、意外に盛り上がる。



「……ガキ」



しかし、藤くんは全く興味がないようだ。



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