藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
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私たちは体育館裏までやって来た。
それにしてもこの場所……
私は以前、この場所に赤井さんから呼び出されたことを思い出していた。
しかし、その頃に比べると夏の暑さは微塵も感じない。
それどころか秋もだいぶ深まり空気の冷たさがそろそろ冬の訪れを感じさせられる。
肌寒い風が私たちの間を通り過ぎ、私は着ていたカーディガンの裾を掴みながら身震いした。
それにしても赤井さんといい、どうして人に聞かれたくない話をしたい女子は体育館裏に呼ぶのだろう。
まぁここならあまり人に見られないからだろうが。
「忙しいのにこんなところまでごめんね」
佐伯さんは私に背を向け話し始めた。
「い、いや、大丈夫だけど……話ってなに?」
「…………わたし、」
するとさっきまで私に背を向けていた佐伯さんは私の方へ向いた。
「文化祭の時に拓也に告白しようと思って」