藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
「そんなのダ「ということなので」



私の言葉は呆気なく佐伯さんに遮られる。

そして、私の両手を握り、こう言った。



「これからもよろしくね」



わたしは佐伯さんがその手を離した瞬間に下を向きながら言った。



「……佐伯さん、ごめん。わたしずっと言えてなかったけど……」



わたしは一呼吸置き、カーディガンの袖をぎゅっと握りしめながら続けた。



「私も、藤くんのこと……好きなんだよね……」



私はギュッと目を瞑った。


佐伯さんからの返答は……ない。



「今まで言えてなくてほんとうにごめんなさ……」



わたしは目を開け、正面を向いた。



が、



「えぇ!?佐伯さん……どこ!?」



私は辺り一面を見渡したが佐伯さんの姿を確認することはできなかった。


既に立ち去ってしまったようだ。


そうだ。


私は思い出した。


佐伯さんは本当に人の話を聞かないことを。


でも


でも


こんなに早くいなくなることある?


うそでしょーー!!!





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