藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
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「……こんにちは」
「あ、ほんとに来てくれたんだ〜」
私は言われるがままに駅前のミスドに足を運んでいた。
チャラ男浜井は私が来る前にもう既に到着していたようで、頼んでいたらしい飲み物も少し減っていた。
「それはこっちのセリフです」
「まぁ座りなよ」
そう言われ、今回は大人しく浜井くんの向かいの椅子に腰を下ろした。
「……ね、あの子どう思う?」
「……?」
浜井くんの視線の先は、ちょっと向こうの席に座っているセーラー服を着た女子高生に向いていた。
「うーん?綺麗…だと思うけど…」
顔はよく見えないけど、長い髪もサラサラでシャンプーのCM出れそうなくらい綺麗っぽいし、組んでる足とか長くて細そうだし、身体も華奢で…
「やっぱそう思う?あー、藤と来てたら声かけたけど川嶋ちゃんとだから残念」
「はいはい、藤くんじゃなくてごめんなさいねー……」
って。
「ちょ、ちょっと!藤くんにそんなナンパまがいなことさせてるの!?」
藤くん、ただでさえモテるのに……
そんなことをして悪い虫がついたらどうしてくれるんだよ!!!
「あはは、冗談だよ。藤はそういうの嫌がるから」
安心して、となだめるように言いながら、ストローに口をつけている。
この人……
絶対私をからかうのを愉しんでる!!
私は睨み付けるように浜井くんを見つめた。
「まぁまぁ……で、ここまで来て何の話?あ、もしかして俺に告白ーーー」
その単語が出たところで私は勢いよく首をブンブンと左右に振った。
「な、わけでなさそうだよね〜。なに?」